棋戦:将棋ウォーズ(10分) 開始日時:2016/09/19 13:22:45 終了日時: 手合割:平手 先手:kendi44 2級 後手:初段 手数----指手---------消費時間-- *某ニコニコ動画で活躍中のアラサーおじさんが自戦記を投稿していたので、影響を受けて私も投稿してみる。 ちなみに私も将棋暦1年半のアラサーおじさんだ。特技はヨーヨー。ヨーヨーおじさんとでも呼んでくれ!棋力は将棋ウォーズというアプリで2級、素人に毛が生えた程度の腕前だ。 今回は、な、な、な、なんと初段に挑むぞ! 先手が私、後手の人が初段、格上の相手だ。 持ち時間はそれぞれ10分、それが無くなると即負けという恐ろしいルールである。 それではよろしくお願いします! 1 7六歩(77) ( 0:04/00:00:04) *私は振り飛車党なので、角道を開ける自然なスタート。四間飛車を採用することが1番多いが、相手が急戦調なら向飛車にしたりする。最近は石田流も試しているが、初段相手に付け焼き刃が通用するとも思えない。ちなみに中飛車はほとんど指したことが無く、わからない。 将棋に興味の無い人がこの文章を読むとはまったく思えないが、念のために解説すると、四間飛車とは飛車を序盤に左から4列目に移動させる戦法。攻守のバランスに優れるとされている。私は『ハチワンダイバー』という漫画で「初心者は四間飛車が良い」と書いてあるのを読み、四間飛車党になった。 もしあなたがハチワンダイバーを読んだことがないなら読むと良い。きっと驚くはずだ。将棋の熱量というものと、吹き出しの大きさの2つに。 2 8四歩(83) ( 0:01/00:00:01) *相手は居飛車らしい。居飛車というのは簡単に言うと飛車を自分の右半面で活躍させる戦法である(適当)。 もしあなたが将棋を知らないのであれば、「居飛車とは振り飛車でない戦法の総称」と覚えておくと良い(煽り)。 3 6八飛(28) ( 0:04/00:00:08) *角交換四間飛車にしたかったので、このタイミングで飛車を振る。格上相手なので角交換四間飛車の定跡通りに進むと苦しい感じもしたが……。 ちなみに角交換四間飛車も後述の藤井猛 元竜王が発展させた戦法である。 4 4二玉(51) ( 0:09/00:00:10) *相手が囲う手を指した。穴熊に組まれそうな予感がひしひしとする。 穴熊囲いとは玉を端まで移動し、金銀をその周りに密集させるという現代将棋最強の防御陣形だ。 プロ間では「穴熊に組めれば作戦勝ち」とも言われており、最終盤の固さを活かした暴力的な攻めは圧倒的である。 5 1六歩(17) ( 0:04/00:00:12) *場合によっては藤井システムを目指す方針で、端歩を突いて様子を見る。穴熊に組まれるのはまずい。 藤井システムとは藤井猛 九段(元竜王)が考案した戦法であり、画期的思想である。将棋界では以前、「四間飛車とは防御を固めてから、相手の攻撃を受け流し、カウンターに転じる戦法」であると考えられていた。しかし、相手側により強固な防御陣形を取られると、防御力の差で不利になってしまう。前述の穴熊囲いの前に四間飛車は駆逐寸前まで追いやられたが、藤井九段の手によって四間飛車は息を吹き返す。 藤井が考えた発想は、「相手が守備を固めてくるのであれば守備が完成する前に四間飛車側から速攻を仕掛け、相手が急戦を仕掛けてくるのであればこちらは守備を固める」というものである。 言葉にすれば当たり前かもしれないが、速攻を仕掛けるためには自玉の防御を最小限にしなければならない。「言うは易し、行うは難し」というやつである。 防御は固ければ固いほど良いと考えられていた中でのこの発想は衝撃的で、藤井九段の竜王奪取の原動力となった。 6 3二玉(42) ( 0:14/00:00:24) *おっと、これは自戦記であった。 あまり脱線するのも良くないので、ウンチクを垂れ流すのはよそう。 後手は角道を閉じたまま、もう一つ深く囲ってきた。防御を固めて持久戦狙いが濃厚であるが、まだわからない。 7 5八金(69) ( 0:07/00:00:19) *金を上がって様子を見る。 8 6二銀(71) ( 0:02/00:00:26) *右銀の活用、まだ相手の作戦がわからない。急戦か?持久戦か? 9 3八銀(39) ( 0:04/00:00:23) *ひとまず銀を立って美濃囲いを作る。急戦だったら、急いで2八の地点まで逃げ込めば良いはずである。 「はず」というのは、藤井システムというのが非常に難しい戦法であるからだ。その難しさを説明するには余白が足りないのでここでは説明しない。 (深く知りたい人は藤井先生の本を買おう!) 10 3四歩(33) ( 0:03/00:00:29) *角道を開けてきたが角交換すると、△2八角の打ち込みがあるので、ここは角交換拒否の一手。 △2八角は筋悪なので無いと思うが(端歩を突いてある形なので香車も取れない)、グチャグチャにかき回される展開は避けたい。 そういえば、以前、コンピュータ将棋の電王戦の阿久津先生 対 AWAKEで、AWAKEが△2八角を指した直後に投了する事件があったけど、アマチュア的には△2八角が成立する局面もあるから難しいと思う。 11 6六歩(67) ( 0:08/00:00:31) 12 5四歩(53) ( 0:04/00:00:33) *5筋を突かれて右銀の活用を目指される。ここはこちらも左銀を上がっておく。 たしか5筋を突かれると持久戦思考とか読んだ気がするが、アマチュアの将棋なので、どちらに転ぶかは謎である。 13 7八銀(79) ( 0:02/00:00:33) 14 8五歩(84) ( 0:02/00:00:35) *ここは角を上がって受ける一手(将棋を知らない方はそういうもんだと思ってください)。 15 7七角(88) ( 0:02/00:00:35) 16 5三銀(62) ( 0:01/00:00:36) *銀が出てきた。急戦だったら嫌だなぁと思い、玉を囲うことにする。 17 4八玉(59) ( 0:05/00:00:40) 18 3三角(22) ( 0:01/00:00:37) *と思ったら、持久戦狙いやんけ!こっちが玉を囲おうとしたから、自分も囲うということか! 穴熊に組まれると厄介なので速攻を仕掛ける。右翼前進! 19 4六歩(47) ( 0:15/00:00:55) *あとあと角道をこじ空けるための4六歩。 20 2二玉(32) ( 0:08/00:00:45) *あー、やっぱり穴熊だよー。せめて美濃囲いにしよっ!ね!お願い! 21 3六歩(37) ( 0:03/00:00:58) *桂馬を跳ばせるよう3六歩を突く。 相手が深く囲う瞬間を狙う。 22 1二香(11) ( 0:02/00:00:47) *やはり穴熊。左美濃ならまだしも、藤井猛信者として穴熊は許せない。 「将棋を指す者は皆、こいつには、この戦法には死んでも負けたくないとそう思う対象が、自然と生まれる。」 そういうもんなんだよ。わかるか? ……うん、わかる人にはわかったと思うけど、『りゅうおうのおしごと』っていう将棋もののライトノベルにそういうことが書いてあったね! ということで、格上だが全力で叩き潰す。イクゾー! 23 3七桂(29) ( 0:06/00:01:04) *完全に囲われてしまってはまず勝てない。桂馬を跳ねて攻勢に出る。 24 4四歩(43) ( 0:02/00:00:49) *相手が守備を固める為、角道を閉じたのは好都合、こちらは角道を開けて攻撃に厚みを持たせる。 25 6五歩(66) ( 0:03/00:01:07) 26 1一玉(22) ( 0:04/00:00:53) *穴熊が一番弱いこのタイミングで仕掛けるのが藤井システムというものらしい。 27 4五歩(46) ( 0:05/00:01:12) *駒音高く4五歩。ネット将棋なので駒音は何を指しても同じだが、気合の篭った歩突き。 28 2二銀(31) ( 0:03/00:00:56) *△同歩と取ると桂馬で両取りが掛かるのでここは囲ってきた。ただし、取る手もあるような気がする。いや、桂馬を跳ばずに角交換する手もあるか?しかし… よくわからないので後で再検討する。 追記 再検討の結果を追記する。 △同歩▲同桂に△7七角成▲同銀△4四銀▲4六歩となれば穏やかな展開に戻る。穏やかな展開になると粘られてリードをじわじわと失っていくような気がする。 △同歩▲3三角成△同桂は▲3五歩は攻めが続きそう。 △同歩▲3三角成△同銀は▲4五桂でOKでした。 やっぱり跳ねないほうが良かったのかな? 29 4四歩(45) ( 0:13/00:01:25) *同歩と取れないからと言って、歩を突き越されるのも嫌じゃないか?どちらで取る? 30 4四銀(53) ( 0:12/00:01:08) *これまでの一連の手順は藤井システムを軽視した相手のうっかりだと思う。桂馬を跳ぶと角桂交換になるので。これは私の方が優勢でしょう? 31 2五桂(37) ( 0:11/00:01:36) *おーいしーい!と叫びながら桂馬を跳ぶ。角を逃げれば銀がただやで? 32 8六歩(85) ( 0:16/00:01:24) *良いタイミングで突き捨てを入れられた。この辺り段位者はやっぱり上手い。 33 8六歩(87) ( 0:07/00:01:43) *嫌な予感はするが取らざるを得ない。 34 5五銀(44) ( 0:10/00:01:34) *角桂交換を甘受し、反撃に打ってでる5五銀。玉頭がスースーしてるので超怖い。相手は穴熊の中で最弱の一枚穴熊なのでお互い様とは言え、本当は私、しっかり美濃囲いに組んで戦いたい派なんだ。 美濃囲いは正義だからね。 35 3三桂成(25) ( 0:20/00:02:03) *とりあえず角を取ろう。同銀か?同桂か?いずれにせよ、囲いは薄くなる。 36 3三桂(21) ( 0:03/00:01:37) *同桂だった。ここは攻める手を指したい。なんせこちらはぺーぺーなので、攻めが止まると苦しい。 37 4三角打 ( 1:04/00:03:07) *馬を作る手なんてどう? 6一の金取りにもなってるし、金が取れなくても▲5四角成で銀を襲えば良いし、忙しいでしょ? 38 4二飛(82) ( 0:15/00:01:52) *え!一瞬も読んでなかった!止めて止めて!その飛車回り!うっかりした!ごめん!ごめん!その手待ってー! 脂汗が全身を流れ落ちる。当然、ネット将棋に「待った」はない。 39 5五角(77) ( 0:16/00:03:23) *こうなったら角を切り飛ばして、飛車の頭の角を歩で支えるしかない。駒割りは銀桂交換になるが、あとあと6八の飛車が成りこめそう。 40 5五歩(54) ( 0:02/00:01:54) *5五の角を取ってきたが、よく考えたら4三の角を取る手もあった? △4三飛車、▲4四歩、△4二飛車では元気が出ないからやっぱり無理か。 41 4四歩打 ( 0:04/00:03:27) *取られそうな角を歩で支えて一安心。 駒台の銀が金だったら簡単に詰むのになあ。 42 4六桂打 ( 0:04/00:01:58) *OH……!両取りを喰らった……。 手番が相手に移ったのでそりゃ反撃するよね。 43 6四歩(65) ( 0:26/00:03:53) *しかし、ここでしょげていてはいけない。「両取り逃げるべからず」でと金作りと飛車の活用を目指す。相手はどうせ金と銀の一枚しか取れないのだ。 44 5六歩(55) ( 0:02/00:02:00) *ここで桂馬を跳ばずに力を溜めるのが上級者の指し方なのか。桂馬を跳ぶと駒の交換は出来るが、攻めの拠点を失うため、良い歩突きだと思われる。勉強になる。 45 6三歩成(64) ( 0:11/00:04:04) *持ち時間の少ない切れ負け将棋なので、と金を作って攻め合う。開き直りも大事と、自分に言い聞かせながら。 しかし、5六の歩を払う手もあったか?わからない。級位者なので全然わからない。残念ながら級位者は弱いのだ。弱いから級位者なのだ。 46 4五桂(33) ( 0:04/00:02:04) *またもや、一瞬も考えていなかった手が飛んできた。相手の立場になるとそれしか無い気もするが、時間が気になって相手の立場になんてなれるわけがない!(だから級位者なのだが……) 47 5三と(63) ( 0:15/00:04:19) *もう知らん!自玉はたぶん耐えているでしょう! ジョジョー!俺は指したい手を指すぞー! いけぃ!一手すきの飛車金取りだー! (一手すきとは、あと2回相手が自分の攻めを放置すると勝てる状態のこと) 48 4三飛(42) ( 0:01/00:02:05) *あ、やっぱりここで飛車を切るのか。一手すきが解けるね。角との交換だが、2枚目のと金が作れるので良しとする。 49 4三歩成(44) ( 0:08/00:04:27) *この局面、相手玉に詰みはあるのか? それよりも相手に手番がわたったのが気になる。 (後でよくよく考えたら後手玉に詰みはありませんでした。一手すきが解けた直後だから詰むわけないやん!) 50 5八桂成(46) ( 0:06/00:02:11) *ここで相手からの反撃!連続王手で囲いが消し飛ぶ……。 51 5八金(49) ( 0:05/00:04:32) * 52 5七歩成(56) ( 0:02/00:02:13) * 53 5七金(58) ( 0:02/00:04:34) 54 5七桂成(45) ( 0:02/00:02:15) 55 5七玉(48) ( 0:02/00:04:36) *どうだい?綺麗になったろう? あっという間に真っ裸だ。 ……ここで相手からのどんな攻めがあるのか? 56 2四角打 ( 0:02/00:02:17) *角で王手!間接的に飛車も狙われている! いや、これは耐えられる!気合だ!気合だ!気合だ! 57 4六歩打 ( 0:05/00:04:41) 58 4五歩打 ( 0:06/00:02:23) *歩で合い駒するも、相手にも歩を突かれる。この歩は取れない。 受けるか?攻めるか? 59 4七銀(38) ( 0:07/00:04:48) *一旦は受けることにしたが、よくよく考えると受けなくても良かったかもしれない。 受ければ最終的に銀が取られてしまう。 例えば4七銀の代わりに6一飛車として、そこで後述の本譜のように4五角と飛び込まれたとき、3八の銀は角の効きに入らない。銀が相手の駒台に乗らないので、そちらのほうが良いということだ。 というか、よくよく見たら3二銀で詰めろを掛ければ良くないか?それなら単純だったが、相手の攻め方がわからない以上、3二銀は指せなかったな。 60 4六歩(45) ( 0:03/00:02:26) *受けてしまったのでトルシカナイ! 61 4六銀(47) ( 0:03/00:04:51) 62 4五歩打 ( 0:02/00:02:28) *もういっちょ叩かれる。だから受けないほうが良かったというわけだ。 追記 受けないほうが良かったと言ったが、スマン、ありゃ嘘じゃった。ここで▲3五歩と指せば2四の角の攻めを受けきれそうだ。10分では到底わからない答えだが……。 63 6一飛成(68) ( 0:22/00:05:13) *次の相手の一手が△4六歩なら、金を取りつつ飛車を成って俺の勝ちだ! と思いきや…… 64 4六角(24) ( 0:03/00:02:31) *ここで、△4六角と角を飛び出して王手する手があるのか。うっかりした。再三言っているが、こう進むなら59手目の▲4七銀は悪手だったなぁ。 自分の玉は見た目通り、護衛の居ない「裸の王様」。相手と実力に差があるので頓死してもおかしくない。 追記 先にも述べたが、▲4七銀は悪手でないことが再検討により判明。将棋は難しい……。 65 5六玉(57) ( 0:09/00:05:22) *時間は少ない。下に逃げる手は考えたくなかった。形勢は有利だと思われるが、逆転負けの恐怖が頭をよぎる。 しかし、最善の逃げ場所はどこだ? わからない。相手にはもう1枚の角と3枚の金銀がある。相手は格上、自分には見えていない寄せがあるのかもしれない。将棋は最後にミスしたほうが負けるゲーム。怖くて思考が停止しそうになる。まったく将棋というものはなんとスリリングなのか。なぜ、こんな遊びを人間は考え出してしまったのか? しかし、対局中の私に余計なことを考えている暇はない。 4五の歩を払えば逃げ切れる、と私は▲5六玉を着手した。 66 8三角打 ( 0:06/00:02:37) *あるぇー?これってまさか王手龍取りじゃありませんか? 頭の中が真っ白になった。あと一歩で掴み取れたはずの勝利が指の間からスルスルと逃げていくような、そんな気持ちだった。 67 6五龍(61) ( 0:33/00:05:55) *しかし、龍を取られてもまだ負けじゃない。龍で玉を守る。この龍は他の駒と刺し違えてから死ぬ。 68 5五歩打 ( 0:08/00:02:45) *この歩打ちは難解だ。初段とは言え、相手も焦っていたのかもしれない。 △5五歩の代わりに△5五金と打ち、▲6七玉と逃げた瞬間に△6五角と龍を取って良いのなら話は早い。しかし、それは相手としも速さで負けそうなので、できなかったのだろう。 69 6六玉(56) ( 0:07/00:06:02) *龍を簡単に取られるわけにはいかない 自然な応手で▲6六玉である。 70 7四銀打 ( 0:17/00:03:02) *あ、銀をくれるんすか?あざぁっす! 71 7四龍(65) ( 0:44/00:06:46) 72 7四角(83) ( 0:04/00:03:06) *そして待望の手番が私に回ってきた。ここで詰みがあれば私の勝ちである。 持ち駒はたくさんある。詰みはあるはずだ。 そして、私が指した次の一手とは? 73 3三桂打 ( 0:07/00:06:53) *え?先輩、これ王手かかってないじゃないすか?なんすかこの気合いの入ってない詰めろ。相手、絶対詰ましにきますよ?ヘタレ!このチキン! うるさい!わかってる、しかし、詰みがわからなかったのだ……。負けるのが怖くて思考が停止し、持ち時間の減少にパニクって、甘い夢をみたのだ。きっと自玉は詰まない。詰めろ詰めろでいけば押し切れると。 74 6五飛打 ( 0:13/00:03:19) *73手目の局面は▲1二金、△同玉、▲3二銀打、△同金、▲同と、△同玉、▲4三金打、△2一玉、▲3二銀打、△1一玉、▲2一飛車打までの11手詰めだった。 手数は長いが▲1二金を打つことができれば、あとは自然に収束する簡単な詰みだ。 落ち着いて考えればわかる。しかし、命のやり取りをしている時に平常心ではいられない。しかも私は大人になってから将棋を始めたので考えるのが遅いのだ……。 心の弱さで勝ちを逃した私の玉頭に相手は容赦なく飛車を打ち付けた……。 75 7七玉(66) ( 0:03/00:06:56) *逃げ場所はここしかない。しかしまだ逃げ切れるはずだ……。頼む、見逃してくれ……! 76 6八角成(46) ( 0:02/00:03:21) *4六の角が馬に成った。私は死んだ。 77 8七玉(77) ( 0:06/00:07:02) *恥ずかしながら73手目の▲3三桂打の局面で、76手目の△6八馬成はまったく読めていなかった。しかも7四の角が9六を睨んでいて退路が封鎖されていることにもこの時になって初めて気付いたのだ。 どう応じようとこの次の手で△7八馬と切られ、先手玉は詰む。例えば本譜では▲8七玉と逃げたが、△7八馬▲同玉に△6八金と打って、あとは銀と金を並べていけば良い。 私の負けだ。しかし、その時の私にそんなことがわかるはずもない。 私は相手の一撃が急所に刺さっていることを薄々感じつつ、さりとて勝負を投げることもできず、必死で足掻いた。 78 3三銀(22) ( 0:10/00:03:31) *ここで不思議な手が出る。相手が3三の桂馬を払ったのだ。たしかに詰めろになっていて怖い桂馬だった。 恐怖を排除したい、安全勝ちを狙いたい、という気持ちはよくわかる。しかし、それは甘い一手で、急転直下、突然の死が訪れる。後手の頓死だ。 後手は安全勝ちを狙うのではなく、先手を殺しにいく一手を考えるべきだったのだ。それが将棋というゲームなのだ。 そして、後手は金を2枚持っていたのだから、答えは簡単に導けるはずだった。しかし、初段も人の子、私が間違ったように相手も間違えたのだ。 79 2一金打 ( 1:06/00:08:08) *持ち時間が刻一刻と減っていく中、自玉の詰みも読み切れていない私は3三の銀を取るべきか、詰ましに行くべきか悩んだ。 なんせ、こちとら弱い弱い級位者様なのだ。 格上と戦って、序盤で優位を確保したと思いながらも、いつのまにかリードを失い、地に足が付かなくなっていた。 詰む気がする……。しかし、詰ましに行って詰なければ負ける。詰みを狙わなくても、自玉に詰みが無ければ、3三の銀を取れば流石に勝てるだろう。しかし、自玉に詰みがあれば負けるのは自分だ……。グルグルと思考が周り、正確な形勢判断なんてできやしない。 難しい、わからない。 しかし、考えても仕方ない。 もうイチかバチか、勇気を出して詰ましにいくぞ!と、私は2一金を着手した。後手玉を危険地帯に誘い込む金の「ただ捨て」、というよりは「押し売り」だ。 80 2一玉(11) ( 0:04/00:03:35) *相手は応じるしかない。 81 3二銀打 ( 0:02/00:08:10) *銀を打ち込む。このあたりでやはり詰みそうだ、とようやく感じられて安堵した。 82 3二金(41) ( 0:05/00:03:40) *これは金で取るしかない。 83 3二と(43) ( 0:01/00:08:11) *と金で金を取る。あとは簡単だ。 84 3二玉(21) ( 0:01/00:03:41) 85 4三銀打 ( 0:03/00:08:14) *銀、金、飛車の順で打っていけば後手玉は詰む。 86 2二玉(32) ( 0:04/00:03:45) 87 3二金打 ( 0:05/00:08:19) 88 1一玉(22) ( 0:02/00:03:47) 89 2一飛打 ( 0:02/00:08:21) *相手は最後まで指して、私の勝ちとなった。 対局ありがとうございました。将棋は礼に始まり、礼に終わるのである。ところどころ、相手へのリスペクトに欠けた発言があった気もしないではないが、まぁ許して欲しい。 将棋ウォーズでは終局時に激しい効果音が鳴るのだが、勝った時に聴くこの効果音は気持ちが激しく昂ぶる。学生の頃、パチスロでスリーセブンを揃えたときの感覚に近い。感動はまったくその比ではないが。 勝った直後は「ウヒョー!初段に勝ったー!藤井システムサイッキョ!!穴熊ぶち殺したぞ!」と興奮したが、よくよく考えてみると、何度もうっかりがあり、反省点の多い将棋であった。 ちなみに将棋界で「ウヒョー」と言えば加藤一二三九段である。マツコデラックスの番組に出てるらしいので、最近は若い女性にも人気らしい。 それはさておき、今回、初めて自戦記というものを書いたのだが、なかなか面白いものだ。このような駄文を読んでくれる奇特な方がいるのであれば、暇な時にまた書いてやっても良い。 ……いいえ、生意気なこと言ってごめんなさい。そんなこと、ぜんぜん思ってないです!ホントですってば! それでは、最後まで読んでくださってありがとうございます。また機会があれば書きたいと思います。それでは! ……もうちょっとだけ続くんじゃよ。 →https://shogi.io/kifus/7505 90 投了 ( 0:00/00:03:47) まで89手で先手の勝ち