手合割:平手 先手:三段 後手:三段 手数----指手---------消費時間-- *今回は嬉野流対策としての陽動振り飛車を、ソフトにかけて検討してみたいと思います。単純に振り飛車にするのではなく、一旦飛車先の歩を切ってから、飛車を深く引いて三間に振る指し方です。最初にやり始めたのは恐らく将棋実況者として有名なクロノさんで、今では他の人もけっこうやってるみたいです。だいぶ凝った手順ですが、果たしてその指し方が嬉野流に対してどれほど有効なのか、クロノさんの動画の駒組みを真似しつつ見ていきたいと思います。 参考動画 【将棋ウォーズ実況 817】三間飛車 VS 嬉野流【10切れ】 https://www.youtube.com/watch?v=ke8a7KTLFOU 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) 2 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) 3 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *普通の居飛車模様です。 4 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) 5 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) 6 3一角(22) ( 0:00/00:00:00) *後手はごくオーソドックスな嬉野流。 7 2四歩(25) ( 0:00/00:00:00) 8 2四歩(23) ( 0:00/00:00:00) 9 2四飛(28) ( 0:00/00:00:00) 10 2二歩打 ( 0:00/00:00:00) *棋書通りの受け方。 11 2八飛(24) ( 0:00/00:00:00) *一見すると何の変哲もない展開ですが、実はここから三間飛車を目指します。かなりの手損ですが、△2二歩とへこませて、後手玉を狭くさせるのが狙いです。 12 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) 13 7八銀(79) ( 0:00/00:00:00) 14 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) 15 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) 16 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) 17 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) 18 5三銀(42) ( 0:00/00:00:00) 19 6七銀(78) ( 0:00/00:00:00) 20 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) 21 7八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *満を持しての飛車振り。8八に振るのも有力そうですが、ソフトのお勧めも7八飛なので、この局面を深く検討させてみることにしました。使用したソフトは4種類で、どれも制限時間十分で検討させました。ノード数は4億~6億程度。右端の段位は、どれくらいの深さで考えたかというソフト側が出してきた目安です。 技巧 +247で互角。最善手は△8五歩。プロ5.01段。 Apery +293で互角。最善手は△6四銀。プロ6.81段。 やねうら王 +215で互角。最善手は△6四歩。プロ6.68段。 SILENT MAJORITY +52で互角。最善手は4四銀。プロ7.01段。 若干ですが、どれも+に振れてます。これだけ見ると対策としてそれなりに有効そうですが、実は嬉野流の序盤をソフトにかけると大体こんなものか、もしくはもっと悪かったりするので、この程度なら嬉野流側としても大して不満はなかったりします。もともと嬉野流は序盤での得を目指す戦法ではなく、「たとえ序盤で少しくらい損したって、力戦に持ち込んでごちゃごちゃやってるうちに逆転してやるぜv( ̄ー ̄)v」という戦法なので、20手目辺りで少しくらい相手に振れるのは仕方のないところです。 また、『(本家)後手番嬉野流 対三間飛車②ー陽動振り飛車編』#4796でご紹介したような、角引きを保留して、△2二歩ではなく△2三歩と打つような形だと100~200くらい嬉野流側の評価が高くなり、当然ですが先後が逆だとさらに良くなります。 本譜のような展開だと確かに後手玉は狭いですが、先手が飛車先を伸ばしている閒に後手も攻撃態勢を着々と整えられるので、嬉野流側としても十分に指せる形と言えそうです。 最後に、陽動振り飛車ではなく、普通に三間飛車を目指した場合の評価値を分岐として載せておきます。 ## 分岐 - #5126