開始日時:2015/11/22 17:38:13 手合割:平手   手合割:平手 先手: 後手: 手数----指手---------消費時間-- *今回から腰掛銀を解説します。 これまでの棒銀や早繰り銀は攻めが単調な分わかりやすかったですが、今回からぐっと難しくなってきます。 とある棋書では対象が1級以上とされてたような気がしますが、本譜の木村定跡に関しては駒を全て活用していく攻めなので攻めの発想を伸ばすためにも頭に入れておいて損はないでしょう。 なお本譜の木村定跡は、現在では先手必勝とされているため廃れています。 1 7六歩(77) ( 0:01/00:00:01) 2 8四歩(83) ( 0:01/00:00:01) 3 2六歩(27) ( 0:01/00:00:02) 4 8五歩(84) ( 0:01/00:00:02) 5 7七角(88) ( 0:01/00:00:03) 6 3四歩(33) ( 0:02/00:00:04) 7 8八銀(79) ( 0:01/00:00:04) 8 3二金(41) ( 0:02/00:00:06) 9 7八金(69) ( 0:01/00:00:05) 10 7七角成(22) ( 0:03/00:00:09) 11 7七銀(88) ( 0:01/00:00:06) 12 4二銀(31) ( 0:02/00:00:11) 13 3八銀(39) ( 0:04/00:00:10) 14 7二銀(71) ( 0:05/00:00:16) 15 4六歩(47) ( 0:02/00:00:12) * 16 6四歩(63) ( 0:42/00:00:58) 17 4七銀(38) ( 0:03/00:00:15) 18 6三銀(72) ( 0:04/00:01:02) 19 6八玉(59) ( 0:04/00:00:19) 20 4一玉(51) ( 0:03/00:01:05) 21 5六銀(47) ( 0:04/00:00:23) *これまで説明してきた棒銀や早繰り銀が攻め重視だったのに対し、腰掛け銀はバランスが良く攻めの幅も広くなっています。 22 5二金(61) ( 0:58/00:02:03) 23 5八金(49) ( 0:03/00:00:26) 24 3一玉(41) ( 0:03/00:02:06) 25 3六歩(37) ( 0:04/00:00:30) 26 5四銀(63) ( 0:03/00:02:09) 27 1六歩(17) ( 1:12/00:01:42) 28 1四歩(13) ( 0:02/00:02:11) 29 9六歩(97) ( 0:03/00:01:45) 30 9四歩(93) ( 0:01/00:02:12) 31 7九玉(68) ( 0:04/00:01:49) 32 7四歩(73) ( 0:03/00:02:15) 33 6六歩(67) ( 0:02/00:01:51) *△7四歩に▲6六歩が基本です。 ▲6五歩とする作戦もあるのでそれについては後々解説します。 34 4四歩(43) ( 0:30/00:02:45) 35 3七桂(29) ( 0:05/00:01:56) 36 7三桂(81) ( 0:02/00:02:47) 37 2五歩(26) ( 0:35/00:02:31) * 38 3三銀(42) ( 0:02/00:02:49) *先後が同じ形になりました。 まずはここからお互いに入城する木村定跡です。 39 8八玉(79) ( 0:23/00:02:54) *次回以降に解説しますが、結論から書くとこれは疑問手です。 40 2二玉(31) ( 0:01/00:02:50) ***先手の入城が疑問手であるとしましたが、それに対して後手の入城は悪手と言っても差し支えがないかもしれません。** ここから木村定跡の流れるような攻めが進行していきます。 **木村定跡は先手必勝とされている数少ない定跡です。** 41 4五歩(46) ( 0:02/00:02:56) *先手は4筋から仕掛けに入ります。 42 4五歩(44) ( 0:02/00:02:52) 43 3五歩(36) ( 0:02/00:02:58) *4筋3筋と突き捨てていくのが腰掛け銀の基本的な攻め手順でしょうか。 44 4四銀(33) ( 0:02/00:02:54) ***▲3五歩には△4四銀が大事な手となります。** これは手筋の先受けで。 ①桂を跳ねられても銀に当たらない ②4五地点を厚くする このような意味合いがあります。 **代えて△同歩は絶対にしてはいけません** △同歩とすると▲4五桂△4四銀▲2四歩△同歩▲同飛で王手銀取りとなり、一気に悪くなってしまいます。 なお、▲4五桂に△3四銀や△4二銀は△4四角が激痛です。 45 7五歩(76) ( 0:47/00:03:45) *先手は次に後手の桂頭に手をつけます。 腰掛け銀は常に桂頭をカバーする駒が無いため、ここを狙うのが筋ですね。 なお△8四飛と受けるは▲7四歩△同飛に▲8三角で馬が作られてしまうのでダメです。 46 7五歩(74) ( 0:47/00:03:41) *後手は取るしかないので仕方なく取ります。 銀を引いたりする変化もありますが、長手数の定跡なのであまり寄り道はしないで解説します。 47 2四歩(25) ( 0:17/00:04:02) *次は飛車の活用を計って2筋を突き捨てます。 48 2四歩(23) ( 0:27/00:04:08) 49 2四飛(28) ( 0:02/00:04:04) 50 2三歩打 ( 0:03/00:04:11) 51 2八飛(24) ( 0:01/00:04:05) *さてここまでを軽くおさらいしましょう。 **①銀桂の活用のため4筋を突き捨てて仕掛けを開始。 ②3筋を突き捨てて、桂を跳ねたときの攻め幅を広げる。 ③桂頭が弱点なので7筋も突き捨てる。 ④飛車を活用したいので2筋を突き捨てて一歩を入手する。** 52 6三角打 ( 1:13/00:05:24) *▲7四歩とされてはたまらないので後手は桂頭を受けます。 本譜は角で受けて、4五地点も厚くしています。 53 1五歩(16) ( 1:26/00:05:31) *次は端に手をつけます。 これは後手玉が入城していて端に近いため、端を絡めた攻めをしようというものです。 54 1五歩(14) ( 0:53/00:06:17) 55 1三歩打 ( 0:02/00:05:33) ***ここで入手した歩を垂らすのが攻めを継続させる手段です。** 56 1三香(11) ( 0:07/00:06:24) *手抜くと香を走られて大変なので取る一手でしょうか。 玉が端に近い分手抜きにくいところです。 57 2五桂(37) ( 0:22/00:05:55) *△同香とさせてから桂を跳ねるのが手順です。 歩の垂らしを入れないで単に桂を跳ねると、その瞬間に迫力がないため△2四歩くらいで困ってしまいます。 58 1四香(13) ( 0:01/00:06:25) *むざむざ香を取られるわけにはいかないので一旦かわすのが受けの手筋です。 59 3四歩(35) ( 0:14/00:06:09) *流れるような手順で歩を取り込んで攻めを継続させます。 60 2四歩(23) ( 0:22/00:06:47) *本譜は攻めを催促してみます。 ここで次の一手を考えましょう。 61 3三桂成(25) ( 1:05/00:07:14) ***歩成ではなく桂成で突っ込むのが重要です。** 桂で突っ込むことで飛車先が一気に軽くなりましたね。 62 3三桂(21) ( 0:04/00:06:51) 63 2四飛(28) ( 0:02/00:07:16) *単に▲同歩成は攻めが細く繋げるのが難しくなってしまいます。 したがって桂で突っ込んだ手と関連させて飛車を走るのが筋でしょう。 64 2三金(32) ( 0:16/00:07:07) *△2三歩も自然ですが、手順に香を取られてしまうので金で受けます。 がっちりと受けられると困ったようですがここで先手の狙いの手があります。 一手考えましょう。 65 1一角打 ( 0:30/00:07:46) ***▲1一角が急所となります。** 玉は下段に落とせ、ということです。 66 3二玉(22) ( 0:29/00:07:36) *△同玉は受けなしで負けなので逃げます。 △3二玉と寄るのが最善ですが、すでにどうしようもない局面です。 67 3三歩成(34) ( 0:18/00:08:04) *ここで飛車取りに構わず歩成を入れます。 68 3三銀(44) ( 0:02/00:07:38) 69 4四桂打 ( 0:05/00:08:09) 70 4四銀(33) ( 0:04/00:07:42) 71 2三飛成(24) ( 0:03/00:08:12) 72 2三玉(32) ( 0:11/00:07:53) 73 4四角成(11) ( 0:02/00:08:14) 74 4三金(52) ( 0:46/00:08:39) 75 4五銀(56) ( 0:09/00:08:23) *馬取りに構わず銀を繰り出すのが好手。 76 4四金(43) ( 0:02/00:08:41) 77 4四銀(45) ( 0:01/00:08:24) 78 3九飛打 ( 0:08/00:08:49) 79 3五銀打 ( 0:19/00:08:43) 80 3二玉(23) ( 0:03/00:08:52) 81 4三歩打 ( 0:04/00:08:47) *結果は先手勝勢。 細い変化は色々と考えられますが、どのように対応しても先手が良くなります。 先手玉が手付かずなのに対し後手玉は風前の灯火で投了級の局面でしょう。 # まとめ ###### 互いに入城した場合、▲4五歩から仕掛けて先手勝勢。 ①銀桂の活用のため4筋を突き捨てて仕掛けを開始。 ②3筋を突き捨てて、桂を跳ねたときの攻め幅を広げる。 ③桂頭が弱点なので7筋も突き捨てる。 ④飛車を活用したいので2筋を突き捨てて一歩を入手する。 ⑤歩を垂らして香を釣り上げてから▲2五桂と跳ねる。 ⑥桂成から突っ込み、飛車先を軽くする。 ⑦単に歩成は攻めが途切れるので飛車を走り、▲1一角から寄る。 というわけで、互いに入城すると後手はまずいようです。 したがって次回は後手が入城せずに先攻する場合を見ていきましょう。