先手:阿部健治郎七段 後手:丸山忠久九段 手数----指手---------消費時間-- *ご閲覧ありがとうございます。 公式戦で**嬉野流**が初めて指された記念というわけではありませんが嬉野流の一ファンとして ##### 第30期竜王戦1組ランキング戦 ##### ▲阿部健治郎七段-△丸山忠久九段 序盤について解説したいと思います。 **故・天野貴元**さん(元奨励会三段)著書の ##### 奇襲研究所 ~嬉野流編~ ##### (マイナビ将棋BOOKS)  ![photo](https://pbs.twimg.com/media/C7r0Q59VAAEJiBk.jpg) 現在の**嬉野流**について私個人が知りうること 実戦も含めて日々の研究勉強していることも書いていこうと思います。 少しでも何かの参考になりましたら幸いです。 注)本記事はMarkdown記法を使って太字や画像を挿入している箇所があります。お使いのブラウザなどによっては正常に表示されない場合があります。 1 2六歩(27) ***嬉野流**の初手は決して▲6八銀でなければいけないということはありません。 ![photo](https://pbs.twimg.com/media/C7r16cXVsAEHXEG.jpg) 初手が▲6八銀でも△8四歩▲7六歩△3四歩▲7七銀と進めば**矢倉**になります。 ただ、この手順で矢倉を目指すのはまず有り得ないですが(▲6八銀に△3四歩なら▲7六歩とは出来ないので)。 ![photo](https://pbs.twimg.com/media/C7r17oiUwAIoY9L.jpg) 決して初手▲6八銀が**嬉野流**ではないのでご注意くださいませ。 2 3四歩(33) ***嬉野流**はいつかプロ棋士の先生の公式戦でも指されるだろうとは思ってました。 予想では新人王戦とかで指されるかなぁと思っていたのですが。 まさかまさか竜王戦1組で指される日が来るとは思いませんでした。 しかし、本局に関して言えばさほど驚きはありません。 **嬉野流**を**指された側**の棋士が**丸山忠久九段**だからです。 **丸山忠久九段**といえば言わずと知れた ##### 角換わりのスペシャリスト スペシャリストの最も得意とする戦形、角交換を避けて力戦形にする 奇襲作戦ではなく理にかなった用意の戦法選択と言えるかと思います。 3 2五歩(26) ***嬉野流**は決して単なる奇襲戦法ではありません。 対応を知らないとあっという間につぶされる=奇襲というイメージは仕方ありませんが。 一つの力戦形としてアマチュアの将棋では今後も残っていくと思います。 また本局をきっかけに更なる研究が進んでいくだろうとも思います。 4 3三角(22) ***嬉野流**と呼ばれる形にするにも様々な初手からの指し方があります。 初手▲2六歩から飛車先を決めてからでも出来ますし 初手▲5六歩でお相手に**先手中飛車**と思わさせてから**嬉野流**の形にするのも序盤の駆け引きとして非常に有効です。 また、初手▲7八金からでも出来ますし、初手▲6八銀にこだわらないことで更に可能性は広がるものと思っています。 5 5六歩(57) *飛車先を決めてから5筋の歩を突き左銀を上がっていく。 本局での阿部健治郎七段の用意の作戦です。 6 8四歩(83) 7 6八銀(79) 8 8五歩(84) 9 7八金(69) *なんと次の一手、10手目△7二銀までに丸山忠久九段が消費した時間は**1時間!** 持ち時間5時間とはいえ序盤にこれだけ時間を消費**させた**こと、それだけでも十分でしょう。 この局面が本投稿記事のテーマ局面です。 どちらを持ちたいかと言われれば私は嬉野流ファンではありますが先手を持ちたいとは全く思いません。 この局面から先手私vs後手私で戦えば先手勝率は10%もないです。 形勢に大きな差があるわけではありません。 先手に苦労が多く指しづらくなるからです。 現局面で指すならば ##### △8六歩の一手です。 ↓↓↓ ## 分岐 - #45433 10 7二銀(71) *序盤考察ですので本記事の棋譜はここまでとさせて頂きます。 本局は**丸山忠久九段**の勝ちとなりました。 この度はご閲覧ありがとうございました。