棋戦: R 対局室 開始日時: 終了日時: 手合割:平手 先手:先手 後手:後手 手数----指手---------消費時間-- *将棋倶楽部24  R対局より。 先手:筆者。後手:対局相手。 双方R700前後。 戦型は▲棒銀△四間飛車。 1手30秒考慮時間60秒の早指し。 ネタバレかもしれないけど、不特定多数の棋譜だからこれくらいは。 クラシックな定跡形からの先手の受けが面白かった一局。 1 2六歩(27) ( 0:04/00:00:04) *先手は居飛車模様。 2 3四歩(33) ( 0:01/00:00:01) *クラシックに。 3 2五歩(26) ( 0:02/00:00:06) *飛車先を突き越して居飛車を明示。 4 3三角(22) ( 0:01/00:00:02) *受けます。 5 7六歩(77) ( 0:02/00:00:08) *角筋を止めたまま右銀を使う手もあるけど、本譜は無難な進行で。 6 4四歩(43) ( 0:01/00:00:03) *クラシック。 7 4八銀(39) ( 0:02/00:00:10) *いつも通りの手順が続きます。 8 3二銀(31) ( 0:01/00:00:04) *現代(?)ではちょっと珍しい銀上がり。昔はこの銀を上らずに飛車を振るのは「はしたない」と言われたとか。 9 6八玉(59) ( 0:04/00:00:14) *ここも昔は▲5六歩と先に突くのが手順。先手の人はあまり頓着しない模様。 10 4二飛(82) ( 0:02/00:00:06) *四間飛車確定です。 11 7八玉(68) ( 0:04/00:00:18) 12 6二玉(51) ( 0:01/00:00:07) 13 5六歩(57) ( 0:02/00:00:20) 14 7二玉(62) ( 0:01/00:00:08) *穴熊も視野に入れた玉寄り。ただ今思えば、後手の人は単にクラシックな進行が好きなだけだったのかもしれません。 15 9六歩(97) ( 0:03/00:00:23) *数秒考えてからの打診でした。穴熊は嫌だなぁ、という心理です。 もし穴熊に組まれたら、銀冠→銀冠穴熊を視野に駒組みの予定でした。 16 9四歩(93) ( 0:02/00:00:10) *後手も打診に応じます。対局中は堂々とした指し手だと感心しながら指してました。格調高い。 17 5八金(49) ( 0:03/00:00:26) *右金を締め、 18 8二玉(72) ( 0:01/00:00:11) *玉を寄り、 19 3六歩(37) ( 0:02/00:00:28) *急戦を匂わせ、 20 7二銀(71) ( 0:01/00:00:12) *美濃に囲う。四間飛車対急戦の堂々とした進行です。 21 6八銀(79) ( 0:03/00:00:31) *行きましょう。急戦です。 22 5二金(41) ( 0:01/00:00:13) * 23 5七銀(68) ( 0:02/00:00:33) * 24 5四歩(53) ( 0:02/00:00:15) *△3二銀・△5四歩型。居飛車はいくつか選択肢がありますが、筆者はほとんど忘れてます。 25 6八金(69) ( 0:06/00:00:39) *速攻はなくなりますが、相手に形を決めさせたい金上がり。 棒銀にする場合は必須の手なので、あまり関係ないとも言えます。棒銀万能。 26 1二香(11) ( 0:02/00:00:17) *先手の角筋を事前に避ける香上がり。 27 4六歩(47) ( 0:08/00:00:47) *作戦はほぼ棒銀決定ですが、形の上では後手の銀の位置を先に決めさせたい。 28 1四歩(13) ( 0:03/00:00:20) *なかなか決めてくれません。 29 1六歩(17) ( 0:05/00:00:52) 30 4三銀(32) ( 0:01/00:00:21) *1筋も突き合ってようやく△4三銀型に。筆者としては気持ち的に楽です。 31 3七銀(48) ( 0:03/00:00:55) *棒銀始動。 32 6四歩(63) ( 0:03/00:00:24) *何気ないですが四間飛車側の分岐点。△6四歩を保留する指し方もあります。 33 2六銀(37) ( 0:04/00:00:59) *これこそ棒銀。 34 3二飛(42) ( 0:01/00:00:25) *攻められそうな筋に飛車を寄る。当然ですが振り飛車の心得です。 35 3五歩(36) ( 0:03/00:01:02) *飛車を寄ってから突く順もありますが、僕はこちらの方が好きです。 36 4二角(33) ( 0:02/00:00:27) *ここは△5一角もあり、そちらの方がクラシックな指し方です。△6四歩型と一見相性が悪そうですが、もしかしたら展開次第で△6五歩〜△6四角と使うつもりだったのかも。 この辺りの分岐は、 1、居飛車の飛車(2筋か3筋か) 2、振り飛車の対応(△4五歩と突いて決戦するか、本譜のように角を引くか) 3、居飛車の方針(銀で抑え込むか、駒組みを視野に入れるか) ……などなど、細かいことを言えばキリがありません。また、僕も網羅できてません(だからこそのレーティングです)。 しかしやることは一つです。 居飛車は攻める、振り飛車は捌く、です。 37 3八飛(28) ( 0:06/00:01:08) *3筋に攻めを集中。 ここで飛車を寄れば、十中八九旧来の定跡になります。 38 5三角(42) ( 0:02/00:00:29) *定跡の角上がり。ただ本来なら△5一角〜△6二角ですね。後手の意図は(推測ですが)36手目の棋譜コメ参照。 ちなみに△5一角〜△6二角とした場合の美濃囲いはなかなかに固く、居飛車としては攻めるのに骨が折れます。 39 3四歩(35) ( 0:05/00:01:13) *歩を取り込みます。すぐ取り返されますがこの瞬間だけ先手一歩得。 40 3四銀(43) ( 0:01/00:00:30) *銀で応じるのが定跡。 ここで△3四同飛は、▲3五銀〜▲3四歩と抑え込みに行きます。 棒銀側は、一気の突破より抑え込みを狙う展開が多いです。 41 4五歩(46) ( 0:03/00:01:16) *後手が△同歩と応じれば▲1一角成と、敵陣に馬が作れます。 42 4三金(52) ( 0:01/00:00:31) *よって4三に金が上がり、防御を固めます。 43 4四歩(45) ( 0:11/00:01:27) *▲4四歩の取り込みも、 44 4四金(43) ( 0:02/00:00:33) *金で取って大丈夫。 45 4五歩打 ( 0:04/00:01:31) *先手は再度角筋を活かして攻めます。 △同金は前述のように▲1一角成。 △同銀は3二の飛車がタダで取られます。 よって後手は金を引くことになります。 46 4三金(44) ( 0:01/00:00:34) *この瞬間は先手の角が1一の地点で成れそうですが、実は後手の角も、先手の2六の銀に当たっています。 ここで▲1一角成とすれば、△2六角で後手が銀を得できます。 馬は強力な駒ですが、さすがに銀一枚の丸損では割に合いません。 47 3七銀(26) ( 0:03/00:01:34) *よって居飛車は角の当たりを避けながら、銀の位置を立て直そうとします。 48 3三桂(21) ( 0:02/00:00:36) *振り飛車も角筋を遮断しつつ、桂馬の活用を図ります。 △3三桂に代えて△4五銀とする手もありますが、先に馬を作られるせいかあまり見ません。実際、ちゃんと指せば居飛車が良くなるそうです。 ただ、僕らくらいの棋力だとあまり関係ないと思います。 49 4六銀(37) ( 0:09/00:01:43) *角筋は遮断されましたが、先手の銀も好位置に。 先ほどの2六にいた銀と比べると、後手の角のラインも避けつつ、中央にも勢力を足しているのがよくわかります。 そういえばこの手は定跡のはずですが、直近2局の四間飛車側は、なぜかここで手が止まってました。相手の胸の内がちょっと知りたいとこです。 ★分岐は定跡の一例。 ## 分岐 - #43004 50 3七歩打 ( 0:31/00:01:07) *定跡を離れました。銀で取れば△4五銀(桂)、桂馬で取れば△3六歩で手が続きそうです。 51 3七飛(38) ( 0:23/00:02:06) *よって飛車で取ります。 52 2六角(53) ( 0:10/00:01:17) *角が出て飛車に当ててきました。 率直に言うと、ここで相手の意図がやや読めませんでした。この後すぐに角を成れるわけでもないですから。 相手の意図が読めない場合は、たいてい次の三つが考えられます。 1、自分の意図を上回る好手 2、意図が噛み合ってないだけで互角な手 3、相手のミス 正直どれもあります。 特に僕らレベルの早指しだと1も3もよく出る印象です。 53 3九飛(37) ( 0:09/00:02:15) *やや迷いながらの着手でした。善悪はわかりませんが、後々後手の駒が前に出てきたときに、飛車に当たるのを避けたつもりです。 54 5三角(26) ( 0:16/00:01:33) *着手のとき、画面越しですが「失敗したか」みたいなニュアンスが感じられた手。 49手目の局面と比べると、 1、先手の飛車が一段低く、 2、先手が純粋に一枚「歩」を得している 1の良し悪しは展開次第ですが、2は明らかに先手の得です。 先手がリードです。 55 5五歩(56) ( 0:24/00:02:39) *勢い指してみたくなる手。 で、勢いで指しました。 ここで△同歩▲同銀と進むと、先手の駒がどんどん前に進み、後手陣にプレッシャーをかけられます。 ★50手目、△3七歩に代えて△3五歩と抑える変化(定跡のひとつ)だと、▲5五歩と突っかけるのは良くない手。△4五桂▲5六銀に△4四歩と桂馬を支える手が良く、居飛車の駒が抑え込まれる。 本譜の▲5五歩に△4五桂は、▲同銀と取られてしまう。(△4五同銀は▲3二飛成と飛車を取られる)。 56 5五歩(54) ( 0:06/00:01:39) *しかし後手の着手は、その△5五同歩。 早指しでは他の指し手も難しかったのかもしれません。 57 5五銀(46) ( 0:06/00:02:45) *先手の駒が前に進みます。 好調を思わせる展開です。 58 5四歩打 ( 0:26/00:02:05) 59 4四銀(55) ( 0:08/00:02:53) *失敗しても出る一手です。 (でもちょっと躊躇しました) 60 4四金(43) ( 0:03/00:02:08) *同金に、 61 4四歩(45) ( 0:03/00:02:56) *同歩。この瞬間、△3四銀に先手の飛車が当たって銀取りになっています。▲4三金と打ち込む手もあります。 「決まったか?」と一瞬浮かれたのですが、次の一手が流石でした。 62 4五桂(33) ( 0:11/00:02:19) *△4五桂! 強い人には当然の一手のはずですが、きっぱり見落としてました。 △3四銀に飛車のひもがつき、きゅうくつそうだった後手陣の風通しが良くなっています。 おまけに飛び跳ねた桂馬が▲5三銀の銀取りになっています。 振り飛車面目躍如の一手。 ちなみに振り飛車の左側の桂馬は「振り飛車の魂」と呼ばれるほど大事な駒で、左桂が活用できるかどうかで良し悪しが分かれるほどです。 振り飛車に元気が出てくる進行です。 63 4六銀(57) ( 0:16/00:03:12) *後手を引かされますが仕方ありません。 64 3八歩打 ( 0:12/00:02:31) *取れば△4九銀の割り打ちが見えてますが、避けた時の展開も読みづらく…… 実際には避けるべきだったかもしれません。 65 3八飛(39) ( 0:29/00:03:41) *割り打ちを甘受します。 66 4九銀打 ( 0:03/00:02:34) 67 4八飛(38) ( 0:26/00:04:07) 68 5八銀成(49) ( 0:03/00:02:37) 69 5八金(68) ( 0:02/00:04:09) 70 2五銀(34) ( 0:07/00:02:44) *飛車先を通し、銀も前に出る味の良さそうな手。 予想された手ですが、対応に悩みました。 71 3三歩打 ( 0:29/00:04:38) *歩のタタキで足を止めます。 72 3三飛(32) ( 0:03/00:02:47) 73 3四歩打 ( 0:03/00:04:41) 74 3四飛(33) ( 0:07/00:02:54) *やはり悩んだ局面。 ▲3五歩の予定でしたが、金で止める手も浮かんでしまい、焦って優劣がつけられません。 ▲3五金なら後手の銀や桂馬に当てられますが、飛車を引かせた後にすぐ取ってしまうと、後手の飛車に成られてしまいます。 75 3五歩打 ( 0:23/00:05:04) *迷った末に歩。 一瞬△2四飛車でまずいかと思いましたが、▲3三銀で飛車が捕獲できるのに気づいてホッと胸をなでおろします。 このまま引いてくれるのかと思いきや、次も(僕にとっては)意表の一手でした。 76 4四飛(34) ( 0:17/00:03:11) *先手の角筋に飛車! 飛車角交換になるので意表を突かれました。 普通は飛車を持った方が指しやすいんですが、今回は先手陣が薄い上に、▲4四同角△同角とした手が9九の香車に当たっています。 もうこのあたり、形勢判断は全くできませんでした。 77 4五銀(46) ( 0:21/00:05:25) *安全を期した、つもりでした。 78 4七歩打 ( 0:03/00:03:14) *お返しとばかりにタタキの歩。 79 4七飛(48) ( 0:05/00:05:30) 80 3六銀(25) ( 0:03/00:03:17) *この手も見落としていました。気持ちの上では逆転されていてもおかしくないほどです。 予想される進行は、 1、▲3六同銀△4七飛成▲同銀の飛車交換コース 2、▲4四銀△4七銀成▲5三銀成△5八成銀の、双方一直線の総取りコース 3、▲4四銀△4七銀成に、▲同金とする手戻しコース。 結論から言えば1だったようです。 どの順も先手の駒得ですが、後手の方が囲いが固く、一番避けたかった飛車交換をされるという、厳しい展開でした。 2は論外です。△5八成銀とした手がほぼ詰めろです。 1は陣形を保てます。しかし気持ちの上で後手を引かされるのが気になりました。 3は先手玉の横がスカスカになりますが、▲4四銀が後手の角に当たっていることと、後手の攻め駒が飛車と金1枚ずつであることに期待しました。 速い攻めがなければ攻め合いに持ち込めるかもしれない。 そう思って3を選択しました。 81 4四銀(45) ( 0:41/00:06:11) 82 4七銀成(36) ( 0:04/00:03:21) 83 4七金(58) ( 0:44/00:06:55) 84 4四角(53) ( 0:18/00:03:39) *え? 85 4四角(88) ( 0:03/00:06:58) 86 2八飛打 ( 0:10/00:03:49) *「やられた……」そんな思いがよぎりました。 予定していたより銀1枚、後手の攻め駒が多い。 一般に盤上と持ち駒合わせて、攻め駒4枚の攻めは切れず、3枚の攻めはギリギリだと言われます。 (歩の枚数の扱いはよくわかりませんが、ケースバイケースのようです)。 どうやってしのごうか。 余裕が得られれば、後手の一段目に飛車を打ち下ろして攻め合いに持ち込めます。場合によってはそのまま攻めきれるかもしれません。 でもその余裕が得られなければ、負けです。 いくつか考えた結果、この結論になりました。 87 6八金打 ( 0:29/00:07:27) 88 5九銀打 ( 0:03/00:03:52) *予想された銀打ち。 次に△6八飛成までの詰めろです。 89 4八歩打 ( 0:02/00:07:29) *遮断します。 90 6八銀成(59) ( 0:05/00:03:57) *こちらを取るのが自然でしょう。 91 6八玉(78) ( 0:02/00:07:31) 92 2九飛成(28) ( 0:02/00:03:59) *桂馬を取りつつ、スカスカの下段に飛車が成ります。 相手もこれで優勢だと感じていた様子です。 93 5九歩打 ( 0:11/00:07:42) *期待、というか祈るような一手。 ここで相手の手が一瞬止まりました。 そう、一見して速い攻めがありません。 94 5五桂打 ( 0:13/00:04:12) *角筋を遮断しつつ、金取りと玉頭に狙いをつける桂馬。 しかしこれは詰めろではないです。 95 1一飛打 ( 0:33/00:08:15) *待望の飛車打ち。 96 5二金打 ( 0:24/00:04:36) *美濃囲い再生。 しかしこの場合は受けになっていません。 後手の人がどうしてこの手を選んだのか理由はわかりません。(受けるなら△7一金打とかだと思います)。 もしかしたら形作りの一つだったのかも。 97 7一角打 ( 0:48/00:09:03) *急所の攻め。 △同金なら▲同角成から詰みです。 98 9二玉(82) ( 0:10/00:04:46) *よって玉を逃げます。これで即詰みはありませんが、次の一手で後手玉に逃げ道がなくなります。 99 6一飛成(11) ( 0:17/00:09:20) *取れば▲9三銀△同桂▲8二金まで。 放置すれば▲7二竜で、合い駒効かずに詰み。 △8二金と埋めても、▲同角成△同玉▲7一角成△9二玉▲7二竜で詰みとなります。 よって後手は先手玉を詰ます必要がありますが、その手段がありません。 ここで後手の投了となりました。 さて、偉そうなことを書いてきましたが、将棋ソフトで検討すると、どうも55手目、先手が▲5五歩と突いた局面からはずっと先手優勢だったみたいです。 (それも+1000くらいで) また飛車交換になった後も駒得や先手玉の広さが活きる上に、割と早い段階で飛車を打ち下ろして美濃囲いをバラバラにする攻めがあり、先手の勝ち筋の多い対局だったようです。 しかし僕も相手もそこまで強くないため、△4五桂と跳ねた時は振り飛車に勢いがあったと感じたし、飛車交換してから▲5九歩と打つまでは、振り飛車の方が優勢だと思っていました。 実際、僕と対局相手の形勢判断は、大部分「一致」していたと思います。 ただ、それは「正解」ではなく、R700前後の勝ちやすさを基準にすると、今回のような棋譜ができあがる。そういうことだと思います。 長いコメントにおつきあいくださり、ありがとうございました。