掲載:マイナー将棋ブログ 手合割:平手   手合割:平手 先手:▲7八金型天守閣囲い 後手:四間飛車 手数----指手---------消費時間-- *◆【第1回 誰も知らないマイナー戦法】平成3年に現れた伝説の囲い ▲7八金型「天守閣囲い」駒組み編 Part3 * *前回は「▲7八金型天守閣囲い」の駒組みのポイントを紹介しました。 *今回は前回の続きで、相手陣に飛車を打ち込んだ後、終盤の攻め合いでの天守閣囲いの受けの手筋を紹介します。 * *下段飛車への対応法、寄せへの踏み込みのタイミング、最終盤だけで使える「天守閣の小部屋」の手筋とは? * *------------ *作者:マイナー将棋ブログ http://minorshogi.com/ *本データ掲載記事:http://minorshogi.com/1st-minor-tactics-that-no-one-knows-part3/ * *※ライセンスは最終手の棋譜コメントに後述 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *前回(https://shogi.io/kifus/241211)解説した47手目▲3一飛までは以前紹介したので、棋譜コメントはありません。 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) 3 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) 4 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) 5 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) 6 4二飛(82) ( 0:00/00:00:00) 7 6八玉(59) ( 0:00/00:00:00) 8 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) 9 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) 10 3二銀(31) ( 0:00/00:00:00) 11 7八玉(68) ( 0:00/00:00:00) 12 6二玉(51) ( 0:00/00:00:00) 13 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) 14 7二玉(62) ( 0:00/00:00:00) 15 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) 16 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) 17 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) 18 8二玉(72) ( 0:00/00:00:00) 19 5七銀(48) ( 0:00/00:00:00) 20 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00) 21 8六歩(87) ( 0:00/00:00:00) 22 5二金(41) ( 0:00/00:00:00) 23 8七玉(78) ( 0:00/00:00:00) 24 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00) 25 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) 26 4三銀(32) ( 0:00/00:00:00) 27 4六銀(57) ( 0:00/00:00:00) 28 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) 29 3五歩(36) ( 0:00/00:00:00) 30 3二飛(42) ( 0:00/00:00:00) 31 5五歩(56) ( 0:00/00:00:00) 32 3五歩(34) ( 0:00/00:00:00) 33 5四歩(55) ( 0:00/00:00:00) 34 3六歩(35) ( 0:00/00:00:00) 35 3四歩打 ( 0:00/00:00:00) 36 3四銀(43) ( 0:00/00:00:00) 37 5八飛(28) ( 0:00/00:00:00) 38 4五歩(44) ( 0:00/00:00:00) 39 5三歩成(54) ( 0:00/00:00:00) 40 8八角成(33) ( 0:00/00:00:00) 41 8八銀(79) ( 0:00/00:00:00) 42 4六歩(45) ( 0:00/00:00:00) 43 5二と(53) ( 0:00/00:00:00) 44 5二飛(32) ( 0:00/00:00:00) 45 5二飛成(58) ( 0:00/00:00:00) 46 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) 47 3一飛打 ( 0:00/00:00:00) *先手が▲3一飛と打ち込んだ局面。 *ここまでが前回(https://shogi.io/kifus/241211)紹介した所で、ここから出てくる終盤の手筋を今回紹介します。 * *まず後手は、この▲3一飛が▲7一角 △9二玉 ▲8二金~▲7二金までの詰めろを狙っているので、受ける必要があります。 *一番玉を堅くする受けを選ばないと、後手は一気に美濃囲いを崩されてしまいます。 *さらに△3四銀も取られる形なので、迂闊な受けでは先手に銀を取られて受けにならない可能性もあります。 * *実際かなり困っていますが、後手はここから美濃囲いの凌ぎの手筋を駆使して反撃していきます。 48 5一歩打 ( 0:00/00:00:00) *△5一歩と「金底の歩岩より堅し」の底歩で受け、先手の攻めを一度止めます。 49 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) *先手も次に△4七歩成と入られると後手に楽しみを与える可能性があるので、一旦は手堅く▲4六歩と取っておきます。(強く攻めるなら▲3四飛成~▲2六角からの順がありますが、相当読み切って指さないと危険な手順。) * *先手としては、そこまで焦って踏み込む必要はありません。 *まずは▲4六歩と入手し、次に▲5三歩と確実な攻めを狙うのがわかりやすい手順です。 50 6九飛打 ( 0:00/00:00:00) *そして△6九飛と後手も待望の飛車打ちが実現。 *次に△4九飛成の金取りと△8九飛成の囲いに迫る桂取り。 *これで一気に反撃の体勢が整い、逆転模様・・・と思いきや。 51 5三歩打 ( 0:00/00:00:00) *ここで天守閣囲いの基本的な考え方として、相手の攻めが来る前に攻め切ってしまうのが特徴です。 特に下段からの攻めに強いので「下段飛車の攻めには受ける事を全く考えなくて良い」のです。 なんと△6九飛には無視して、▲5三歩で決まっています。 ▲5三歩に△同金は▲6二金から次の▲7一角を狙って寄り筋。 他にこの▲5三歩に△6二金も▲5一飛成 △6一銀打に▲5二金で一手一手の寄り筋。 先手の天守閣囲いが絶対に詰む事はないので、その間に相手玉に迫っていけば勝てる将棋なのです。 振り飛車側の下段飛車の攻めは絶対に詰めろにならないので「下段飛車には一手手抜きで攻められる」と読みを省略しやすいのが大きいのです。 ちなみにここで気になる△8九飛成には「天守閣囲いの必須手筋▲7九金打」があり、簡単に受かります。 ●「天守閣囲い」終盤のポイント1 「△8九飛成に対し、相手にの持ち駒に斜め駒があれば▲7九金打で飛車殺し。 『△8九飛成には▲7九金打と受ければ鉄壁。』」 52 6三金(52) ( 0:00/00:00:00) *△6三金と逃げましたが、既に後手はどうしようもありません。 △8九飛成ともいけず、攻め合いの手段もありません。 後手は凌いで凌いで、ミスを待つしかありません。 この△6三金は▲5一飛成なら△6二銀で手番を握って受ける手筋で、こうなると一手稼がれてしまいます。 53 5二歩成(53) ( 0:00/00:00:00) *その受けを許さないのが△6三金に対し▲5二歩成! △同歩なら▲7一角 △9二玉 ▲8二金 △9三玉 ▲7二金以下の詰みです。 54 4九飛成(69) ( 0:00/00:00:00) *△5二同歩と取れないため、後手は△4九飛成から金を入手して。 55 5一飛成(31) ( 0:00/00:00:00) *▲5一飛成で次に▲7一角からの寄せを狙った手に対し。 56 7一金打 ( 0:00/00:00:00) *△7一金と打って頑張って受けますが、次の一手が居飛車対振り飛車の対抗形で頻出する攻防手です。 57 4四角打 ( 0:00/00:00:00) *相手に受けを許さない決め手がこの▲4四角! * *次の▲7一角成の詰めろを受ける手がなく、以下△5三歩と受けても▲同とから一手づつの寄せで先手の天守閣囲いの勝ちです。 * *美濃囲いに迫ってからの▲4四角は、対振り飛車戦で攻防の決め手になりやすい手なので絶対に覚えておきましょう。 *逆に振り飛車側を持った時は、先に△4四角と打つ手が7一地点を受けつつ相手玉に迫る攻防手になりやすいので、対抗形ではいかに4四地点に角を先着できるかが実は大事なポイントなのです。 * * 58 5三歩打 ( 0:00/00:00:00) *以下△5三歩と受けても。 59 5三と(52) ( 0:00/00:00:00) *▲同と取って一手づつの寄せで先手の天守閣囲いの勝ちです。 * *さて普通の棋書や講座ならここで打ち切るのですが、今回はマイナーすぎるB級戦法「天守閣囲い」の解説です。 * *このまま終わっては、この天守閣囲いの特性がわからずじまいで終わってしまいます。 *ここから最後に後手が天守閣囲いに猛攻を仕掛けて寄せようとしたらどうなるのでしょうか? *天守閣囲いの終盤の必須手筋を紹介して、終わりたいと思います。 60 5三金(63) ( 0:00/00:00:00) *後手は最後の一発逆転を狙うため、先手の受けにも利いている▲4四角を動かします。 61 5三角成(44) ( 0:00/00:00:00) *▲同角成と取り、次に▲7一馬からの詰めろがかかりました。 62 6一金(71) ( 0:00/00:00:00) *それを消しつつ、龍取りをかける△6一金。 * *ここからの後手の方針は、できる限り先手から駒を入手してからの△8九飛成です。 *持ち駒を沢山持って、先手玉に迫ればトン死筋が生じるかもしれないからです。 63 6二金打 ( 0:00/00:00:00) *ここで先手、容赦なく▲6二金。 *以下△5一金なら▲7二金 △同玉 ▲6三銀 △8二玉 ▲7一馬以下必至がかかります。(変化手順参照。) * *この▲6二金に受けはありません。(変化手順参照。) *よってここから後手は、最後の勝負を仕掛けてきます。 * *ここからが天守閣囲いの最大の見せ場となります。 64 8九龍(49) ( 0:00/00:00:00) *△8九飛成と入る手が最後の勝負手。 * *ここから後手は次にある手を狙ってきます。 65 6一金(62) ( 0:00/00:00:00) *先手は▲6一金から、後手の美濃囲いの要の金を取って▲7一馬 △9二玉 ▲9三金 △同桂 ▲8二金までの詰めろをかけます。 * *ここで後手の次の一手が最後の勝負手で、この対応を誤ると先手はトン死してしまいます。 *ですが次の勝負手に対し「天守閣囲いの必須手筋」を知っているだけで全く怖くなくなります。 66 7五桂打 ( 0:00/00:00:00) *△7五桂! *これが後手の最後の勝負手です。 * *実戦ではこの順を選んで逆転を狙われる展開が多いでしょう。 * *ここが問題の局面であり、最後の盛り上がり所です。 *この次の一手がわかるようなら、あなたは天守閣囲いを使いこなす事ができます。 67 9七玉(87) ( 0:00/00:00:00) *●「天守閣囲い」の終盤のポイント2 *「最終盤でのみ▲9七玉と逃げ、確実に1手稼ぐ凌ぎの手筋がある。」 * *スッと玉を端に逃げて、先手の天守閣に王手がかからなくなりました。 * *詰むか詰まないかの最終盤でのみ、終盤の王手には▲9七玉で手数を1手伸ばしてしまう必殺の手筋があるのです。 * *この▲9七玉が「銀冠の小部屋」ならぬ「天守閣の小部屋」の手筋です。 *先ほどまで玉がいた8七地点には金銀が利いており、8七地点を攻める事は不可能です。(仮に相手の持ち駒に金があっても△8七金 ▲同銀で銀冠の形になり詰まない。) * *この最終盤の△7五桂には、今後ノータイムでこの手を指して勝ってください。 68 9二玉(82) ( 0:00/00:00:00) *よって粘るなら、ここで△9二玉と先逃げするぐらいですが。 69 6二龍(51) ( 0:00/00:00:00) *▲6二龍~▲7二龍と一手づつ迫って行けば先手勝ちです。 後手からは絶対に先手玉を寄せる手段がないので、詰めろ詰めろで確実に追っていけば先手の勝ちになるのでした。 ------------ ●「天守閣囲い」終盤手筋編 ポイントまとめ 1.△8九飛成には▲7九金打と受ければ鉄壁。 2.最終盤でのみ▲9七玉と逃げ、確実に1手稼ぐ凌ぎの手筋「天守閣の小部屋」がある。 ------------ データ名:【第1回 誰も知らないマイナー戦法】平成3年に現れた伝説の囲い ▲7八金型「天守閣囲い」終盤手筋編 Part3.kif 【作者:マイナー将棋ブログ(http://minorshogi.com/)】 【本データ掲載記事:(http://minorshogi.com/1st-minor-tactics-that-no-one-knows-part3/)】 ※ライセンス表記※ このデータは「クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際」の下で利用できます。 http://minorshogi.com/1st-minor-tactics-that-no-one-knows-part3/ にある作品に基づいている。 詳細はURL:https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja