後手番 後手の持駒:  9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・v玉v角v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 角 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ 金 玉 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩  先手:ひねり飛車 後手:嬉野流 手数----指手---------消費時間-- *嬉野流をやっていると様々な「対策」と出会う。それなりに厄介なのもあれば、少しピント外れなものもあったりするのだが、以前からたまに見かけるのが、歩交換したあとに飛車を中段に引き、右側に玉を囲うひねり飛車風の指し方である。玉を戦場から遠ざけるという点では確かに合理的であり、その上金銀二枚で8筋を守ってるため、いつものように斜め棒銀で攻めても上手くいかないことが多い。 ひねり飛車自体はさほど汎用性のある戦法だとは思わないが、嬉野流専用シフトとしては比較的よく出来ていて、筆者も過去に良いところなく負けてしまった経験がある。 では、相手がひねり飛車にしてきたとき、嬉野流側はどう指せば良いのか。嬉野さんの棋譜を参考にしたいところだが、あいにく類似局面の棋譜が見つからなかった。なのでここは一つ、現在手に入れられる将棋ソフトの中では間違いなく最強であろう浮かむ瀬(Aperyの最新版)に先生になって貰って、対策を探っていきたい。 まずは局面図を見て貰いたい。△2五歩に▲7七角としたところである。プロ間では絶対に出てこない妙な局面だが、浮かむ瀬の評価は-44の互角。この形に対して、嬉野流側がいつも通り斜め棒銀に行くとどうなるかを初めに見ていく。 初手からの駒組みを見る場合はこちらから→ #12963 『ひねり飛車対策 本編』→ #13304 1 6四銀(53) *ここで考えられる先手の応手は2四歩、6八銀、8八銀、2八玉、6八角の5パターンくらいで、どれも評価値は殆ど変わらないが、嬉野流対策に絞るならおそらく8八銀がもっとも優秀。 2 8八銀(79) 3 7四歩(73) * 4 6八角(77) 5 6二銀(71) 6 2八玉(39) 7 7五歩(74) 8 7五歩(76) 9 7五銀(64) 10 7七銀(88) * 11 7六歩打 *7六歩が手筋だが、 12 7六銀(77) *飛車の横利きがあるので同銀と取られてしまう。 13 8六歩(85) 14 8六歩(87) 15 8六銀(75) 16 8七歩打 17 7五銀(86) 18 7五銀(76) 19 7五角(31) 20 7六飛(26) *歩を一枚損しただけだが、こうやって飛車が働いてくる展開はひねり飛車の思う壺。評価値も+600近く先手有利に振れている。試しにもう少し進めてみよう。 21 5三角(75) 22 5六歩(57) 23 7五銀打 24 4六角(68) 25 8三飛(82) * 26 9六飛(76) 27 6四角(53) 28 6四角(46) *同歩には7四角がある。 29 6四銀(75) 30 7六飛(96) 31 7三桂(81) 32 8六飛(76) *△同飛でも△8五歩でも+1000前後で先手優勢。陣形差が大きく嬉野流側はどうしても勝ちづらい。途中色々な変化があるので一概には言えないが、単純に斜め棒銀に行くのは、飛車の横利きと二枚の金銀が邪魔でやはり上手く行かない。 ではどう指すべきか。結論から言うと、飛車を苛めつつ中央から抑え込んでいくのが有力なようだ。本編で具体的な手順を見ていきたい。 『ひねり飛車対策 本編』→ #13304