開始日時:2015/12/01 02:41:40 持ち時間:3分切れ負け 棋戦:将棋ウォーズ(弾丸) 手合割:平手   手合割:平手 先手:四段 後手:directer13 手数----指手---------消費時間-- *嬉野流唯一の棋書である『奇襲研究所 ~嬉野流編~』には、対振り飛車の戦略として、居飛車(鳥刺し)で対抗する指し方しか紹介されていない。無論それも有力ではあるのだが、創始者の嬉野さんは相振り飛車を積極的に採用している。もともと前例のない力戦を目指す嬉野流と、定跡のあまり整備されていない相振り飛車との相性は良く、嬉野流使いなら頭に入れておいて損はない選択肢である。相振り飛車と一口に言っても色々あるが、ここでは手始めに、四間飛車に対して中飛車にするパターンと、三間飛車に対して向かい飛車にするパターン、それに中飛車に対して相中飛車にする三つのパターンを紹介しておく。 なお、相手がどの筋に飛車を振ってこようと、嬉野さんが採用するのは基本的に中飛車か向かい飛車で、三間や四間に振ることは殆どないようだ。 では、まずは四間飛車に対して中飛車にした棋譜から見ていく。 三間飛車に対して向かい飛車にする棋譜はこちらから→ #12195 中飛車に対して中飛車にする棋譜はこちらのリンクから→ #12216 参考記事(外部リンク) 【ご本人登場】嬉野流創始者が嬉野流を語る(天野さんの本が発売された時のインタビュー記事だが、その時すでに相振り飛車に言及している) https://book.mynavi.jp/shogi/blog/detail/id=39913 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *これは2015年12月1日に将棋ウォーズの弾丸(3分切れ負け)で指された1局で、後手が嬉野さんである。先手は四段の方。 2 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) 3 6六歩(67) ( 0:02/00:00:02) 4 5四歩(53) ( 0:01/00:00:01) 5 7八銀(79) ( 0:01/00:00:03) 6 5三銀(42) ( 0:01/00:00:02) 7 6七銀(78) ( 0:02/00:00:05) *マイボナで制作したデータベースによれば、ここで嬉野さんの応手は1四歩が7局でもっとも多く、次いで8四歩が4局、3一角が3局、いきなり5二飛車と振ったのも2局あった。 8 1四歩(13) ( 0:01/00:00:03) *というわけで、もっとも数の多かった1四歩の変化を見ていく。 9 6八飛(28) ( 0:04/00:00:09) 10 2四歩(23) ( 0:02/00:00:05) *早速向かい飛車にするための下準備に入る。ただ嬉野さんの場合は、先に1筋と2筋を伸ばしておいてから、あえて中飛車にすることもある。 11 5八金(69) ( 0:02/00:00:11) 12 2五歩(24) ( 0:01/00:00:06) 13 3八銀(39) ( 0:03/00:00:14) 14 5五歩(54) ( 0:02/00:00:08) *5筋の位も取りに行く欲張りな一手。 15 4八玉(59) ( 0:04/00:00:18) 16 5四銀(53) ( 0:02/00:00:10) 17 3六歩(37) ( 0:04/00:00:22) *先手は右矢倉を目指す。相振りでは有力な囲いだ。 18 5二飛(82) ( 0:02/00:00:12) * 19 3七銀(38) ( 0:02/00:00:24) 20 1三角(22) ( 0:02/00:00:14) 21 4六歩(47) ( 0:07/00:00:31) 22 6二玉(51) ( 0:02/00:00:16) *後手も囲いに行く。対居飛車の場合は、玉は殆ど囲わずぎりぎりの凌ぎを目指すのが常套手段だが、相振りの場合はしっかり囲う。囲いは美濃系が多く、穴熊はさすがにやらない。 23 3八金(49) ( 0:02/00:00:33) 24 7二銀(71) ( 0:00/00:00:16) 25 3九玉(48) ( 0:03/00:00:36) 26 7一玉(62) ( 0:01/00:00:17) 27 4七金(58) ( 0:02/00:00:38) 28 4四歩(43) ( 0:02/00:00:19) 29 2八玉(39) ( 0:03/00:00:41) 30 3四歩(33) ( 0:01/00:00:20) 31 9六歩(97) ( 0:06/00:00:47) 32 3三桂(21) ( 0:01/00:00:21) *桂馬も跳ねて、総攻撃の準備完了。この時点でのソフト(浮かむ瀬)の評価は-411で後手有利。しっかり右矢倉に組めたことが先手の主張だが、攻撃が立ち後れているのと、上部からのプレッシャーが厳しいのが難点。 33 5八銀(67) ( 0:06/00:00:53) 34 4五歩(44) ( 0:02/00:00:23) *飛車が角のラインに入っているため、これを取ると次の△5六歩が厳しくなってくる。 35 6五歩(66) ( 0:04/00:00:57) *なので取らずに飛先を伸ばした。 36 4六歩(45) ( 0:04/00:00:27) 37 4六銀(37) ( 0:02/00:00:59) 38 4五銀(54) ( 0:01/00:00:28) 39 4五銀(46) ( 0:02/00:01:01) 40 4六歩打 ( 0:02/00:00:30) 41 3四銀(45) ( 0:06/00:01:07) 42 4七歩成(46) ( 0:02/00:00:32) 43 4七金(38) ( 0:04/00:01:11) *右矢倉がたった数手であっさり崩壊。ただ後手も歩切れで、桂取りも残っているのでまだまだ難しい将棋ではある。 44 5六歩(55) ( 0:03/00:00:35) *▲同歩には△6八角成、▲同金には△同飛がある。どちらにしても取る手はない。 45 4六歩打 ( 0:11/00:01:22) *我慢の一手だが、 46 4六角(13) ( 0:03/00:00:38) *角切りが好手。駒損はすぐ取り返せる。 47 4六金(47) ( 0:01/00:01:23) 48 5七歩成(56) ( 0:01/00:00:39) 49 5三歩打 ( 0:02/00:01:25) *△同飛だと▲3五角(もしくは▲4四角)があって、後手としてはあまり面白くない。 50 6八と(57) ( 0:03/00:00:42) 51 5二歩成(53) ( 0:03/00:01:28) 52 5二金(41) ( 0:01/00:00:43) 53 4四角(88) ( 0:11/00:01:39) 54 5三歩打 ( 0:03/00:00:46) *この歩で後手陣は堅牢に。 55 4七銀(58) ( 0:03/00:01:42) 56 5八と(68) ( 0:01/00:00:47) *▲同銀なら△4八飛車。 57 5四歩打 ( 0:11/00:01:53) 58 4三歩打 ( 0:10/00:00:57) 59 5三歩成(54) ( 0:24/00:02:17) *勝負手。 60 4四歩(43) ( 0:02/00:00:59) 61 5二と(53) ( 0:03/00:02:20) 62 5二金(61) ( 0:02/00:01:01) *先手は角と引き替えに、後手陣を乱すことに成功した。 63 2一飛打 ( 0:04/00:02:24) 64 5一歩打 ( 0:03/00:01:04) 65 6六角打 ( 0:03/00:02:27) 66 3七歩打 ( 0:02/00:01:06) 67 3七桂(29) ( 0:04/00:02:31) 68 6九飛打 ( 0:02/00:01:08) 69 4四角(66) ( 0:02/00:02:33) 70 6二角打 ( 0:02/00:01:10) 71 6二角成(44) ( 0:04/00:02:37) 72 6二金(52) ( 0:04/00:01:14) 73 5一飛成(21) ( 0:03/00:02:40) 74 6一銀(72) ( 0:01/00:01:15) 75 2九金打 ( 0:04/00:02:44) 76 4八と(58) ( 0:03/00:01:18) 77 5九歩打 ( 0:03/00:02:47) 78 5二金打 ( 0:03/00:01:21) 79 1一龍(51) ( 0:03/00:02:50) 80 5九飛成(69) ( 0:02/00:01:23) *ここはすでに後手勝勢。 81 4九歩打 ( 0:04/00:02:54) 82 4九龍(59) ( 0:03/00:01:26) 83 3八銀打 ( 0:03/00:02:57) 84 8九龍(49) ( 0:03/00:01:29) *ここで先手が投了。まだ詰みのある局面ではないが、と金の存在が大きく、投了もやむなし。 85 投了 ( 0:00/00:02:57) まで84手で後手の勝ち